低温プラズマ

低温プラズマ(cold plasma)は、プラズマの一種で、ガス分子が放電(電気を流すこと)によってイオンや電子、励起状態の原子や分子などに変化した状態を指します。通常、プラズマは非常に高温ですが、「低温プラズマ」はその名前が示すように、比較的低い温度で存在できます。

低温プラズマは、部分的にイオン化されたガスであり、その温度は電子とガスの温度の不均衡性を示しています。このプラズマでは、電子は非常に高温(数千から数万 K)である一方で、重いイオンと中性粒子は比較的低温(通常、室温近辺)に保たれます。これは、電子が非常に軽いため、エネルギーを効率的に吸収し、その結果、非常に高い温度になる一方、イオンと中性粒子は重いため、同じ量のエネルギーを吸収しても温度はそれほど上がらないためです。

低温プラズマは、その特性を利用した様々な応用があります。例えば、材料加工、表面改質、プラズマ洗浄、プラズマエッチング(半導体製造で使われる技術)などに広く用いられています。また、医療分野でも利用が増えており、細菌の除去や傷の治療、がん治療などに用いられています。

低温プラズマの研究は、新しい技術や応用の開発を可能にするために、物理学、化学、材料科学、電子工学、生物学などの多様な学問分野で行われています。

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