「ものづくり脱中国」の流れは、近年ますます加速しているグローバルなトレンドです。特に製造業において、これまで「世界の工場」として機能してきた中国から生産拠点を移す動きが多くの企業で見られています。以下のような要因がその背景にあります。
■ 脱中国の主な背景
1. 地政学的リスクの高まり
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米中対立、台湾有事リスクなどにより、中国依存がサプライチェーンの脆弱性として意識されるように。
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特にアメリカや日本、EU企業はこのリスク分散を強く意識。
2. 人件費の上昇
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中国の沿岸部では人件費が上昇しており、「安価な労働力」のメリットが薄れてきた。
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これにより、ASEAN(ベトナム、インドネシア、タイなど)や南アジア(インド、バングラデシュ)へ工場移転の動きが活発化。
3. 新型コロナウイルスとロックダウンの影響
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パンデミック中のロックダウンで中国の供給網が大混乱。
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多くの企業が「一国依存のリスク」を実感。
4. 米中貿易戦争と輸出規制
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米国による対中関税、技術移転規制が継続しており、中国での製造がコスト的にもリスク的にも不利に。
5. ESG・人権問題
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新疆ウイグル自治区での人権問題などにより、企業イメージを守るため中国生産から撤退する動きも。
■ 脱中国の動き:具体例
業界 | 脱中国の動き |
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半導体 | TSMC、インテル、ソニーなどが日本やアメリカに新工場建設。 |
自動車 | トヨタやホンダがアジア各地に生産分散。EV部品の調達地も見直し。 |
家電 | パナソニック、シャープなどがベトナム・タイへ生産移管。 |
アパレル | UNIQLOなどはバングラデシュ、ベトナムへの移行を加速。 |
■ 今後の展望
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中国完全離脱は困難:巨大な内需市場、生産技術の高さから、「脱中国」ではなく「チャイナプラスワン(+1)」戦略が主流。
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自動化・スマートファクトリー化の進展:中国外での製造に対応するため、工場の自動化・ロボット導入が進行。
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国家支援も後押し:日本政府は海外からの国内回帰を支援する補助金制度(例:サプライチェーン対策のための国内投資促進事業費補助金)を用意。
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