安全運転をサポートする「目」

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今のクルマは「自動ブレーキ」「ハンドルアシスト(レーンキープ)」「車庫入れ」までしてくれるのは便利ですよね。
その便利な機能をフルに活用し性能を発揮するには周りの状況に対して「高度な認識や処理が必要」になってきます。


(そういう風に考えると人間の判断能力は素晴らしいものですね)

さまざまな機能がありますが、ミリ波レーダーや赤外線レーダー・(カメラ)画像センサーなどを使用しての安全な運転サポートは人命にかかわる重要な技術となっています。

そこでこういった技術にも仕事場でもお世話になっている「デジタルコピー」「スキャナー」にも使用されているパーツがあります。

「ポリゴンミラー」というパーツです、ちょっと注目してみましょう。

鏡面加工を施した多面体を高速回転させてレーザーを反射させ、センサー受光部や紙などの感光部へと正確に照射するパーツです。
「面」は6面体のものが多く、回転は20000回転/分~40000回転/分という高速回転。
この回転している「面」にコピーやスキャナーなら1ライン分、カメラ画像の1フレーム分などというようにデータを反射させる事ができます。
上のコピー機の例なら、6面体のミラー1周で6ラインのデータをやり取りできるわけです。
※ポリゴンミラーをいくつか重ねて使用することもあります。

主にアルミニウムを切削して面を削り出し、酸化シリコンを真空蒸着(*)させて表面を鏡面加工してあります。
(*)真空蒸着—真空状態下で金属酸化物を加熱し蒸発(昇華**)させたものを金属面に付着させる方式で「薄膜加工」に適している。
(**)昇華とは液体にならず一気に「気体が個体に」又は「個体が気体に」なる事。
「反射する面の加工精度」+「蒸着による薄膜加工」で反射面も平滑に仕上がり、誤差も限りなくわずかになります。

これだけ精巧に仕上げられたパーツなら「安全」を第一にしたいクルマのサポートにうってつけです。
レーザーの発光部からミラーに反射させて出力し、外部からのデータをミラーに反射させて受光すればデータのやり取りができます。
このポリゴンミラーを使用した「近赤外線レーザーレーダー」で、走行中の車両から約80m先の目標物を検知することができるのです。
従来までの反射波を画像として捉えた平面データではなく、立体でのデータ取得ができより正確に判断をする事ができるようになります。
(この方式がスタンダードになりますね)

先行車との車間距離をキープすることや、そこへの割り込みに対する減速(ブレーキ)などといった機能も走行中には助かります。
夜間の走行時では人間の目視による視界以上の認識をしてくれるのは技術力によるものです。
人間のサポートをしてくれる技術は「最後の砦」、大人なら余裕のある安全走行をしたいものですね。

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写真:シナノケンシ株式会社製ポリゴンミラースキャナモータ(ポリゴンモータ)