伝票などには絶対必要な「カーボン紙」の仕組み

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大切な書類はやはり 「紙媒体」 でしっかりと残しておきたいですね。
領収書などの記入字にはカーボン紙を挟んで行います。
気をつけないと余計な場所に線が写ってしまったり、収納の仕方が悪いと後ろのページまで色移りしていたりと大変です。

*** カーボン紙の構造など…
カーボン紙の仕組みの多くは「上紙、中紙、下紙」の層でできています。
オーソドックスなタイプのものは「カーボンブラック(※1)」などの顔料や染料を、蝋や油と混ぜて用紙に塗布させたものです。
今は発色剤と顕色剤(※2)がそれぞれカプセル化されて紙に塗布されたものが使用されています。
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紙の「片面」「両面」に塗布することで使用する場面によって使い分けられます。
(コピー目的なら「片面」、裏書きを必要とするなら「両面」の紙を使い分けて使用します)

ペンなどで筆記をした際に圧力がかかると発色剤のカプセルがつぶれて顕色剤と反応して発色します。

※1:石油精製時の燃焼ガスなどに含まれる「煤(すす)」で構成されている “炭素の微粒子” で黒色顔料として使用されています。
粒子の細かさによって濃度が変わってきたり性能を持たせることもできます(プリンターの “トナー” でもおなじみでしょう)

※2:発色剤=染料(顔料)インクの成分、顕色剤=フェノール性樹脂などで発色剤と反応して色を出します

*** インクにも秘密があります…
このインク(染料)はロイコ染料と有機性溶媒による溶液を使用して、100℃くらいの過熱のうえメラミンポリマーなどを加えた状態で高速の攪拌を行います。
この作業により「乳化」されて0.1ミクロンほどの粒状になります、これで染料のカプセル化ができます。
※ カプセル化には”植物性”の油なども使用されます

水と油を静かに注げばキレイに分離しますが、これを高速で攪拌すると「水」と「油」の境目付近に “粒状の層” が出来上がります。
細かい粒状にできればカプセル化になります。
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カーボン紙は人による「筆圧」や、プリンターによる「圧力」で印字をします。
お買い物時のレシートなどでもこういったインクを使用しているものが多いです。
ロイコ染料溶液が有機化合物ですから、例えば「消毒用エタノール」をかければ有機溶剤の作用で”印字”が消えます。