温水洗浄便座は日本が普及のきっかけを担った製品であることをご存知でしょうか。今回はその温水洗浄便座のお話です。
温水洗浄便座は元々はアメリカで医療や福祉用に開発されたものでした。日本の衛生陶器メーカーである東洋陶器(今のTOTO)がこれを日本の一般住宅向けに販売しようと考え、1964年にアメリカンビデ社の「ウォシュエアシート」を輸入販売開始したのが温水洗浄便座の始まりとされています。それからTOTOやINAXが暖かい便座を独自に研究を進めていましたが、まだ日本は和式トイレが多く、温度の調節も不安定でした。また、下水道の普及も進んでいなかったこともあり普及には至りませんでした。
1970年後半頃に洋風便器の出荷が和風便器を上回ります。
その後、1980年にTOTOがウォッシュレットを発売しました。ウォッシュレットは暖房便座や乾燥機能付きの商品で、洋式トイレの普及やテレビコマーシャルの話題性から広く受け入れられるようになりました。コマーシャル中の独特の歌によって一気に知名度を高めたのです。
1990年代半ば頃のO157問題により、抗菌仕様の便器が普及しだしました。2001年、温水洗浄便座協議会(現 一般社団法人日本レストルーム工業会)設立します。2002年温水洗浄便座の普及率が50%を超えました。今ではウォッシュレットに限らず国内温水洗浄便座市場全体での家庭での普及率は7割を超えています。
現在でも日本はこの分野では開発が進んでいると言われています。海外からの観光客に驚かれることも少なくないそうです。
清潔志向の日本だからこそ温水洗浄便座を世界へと発信することが出来たのです。