機械式時計の技術(つづき)

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機械式時計の技術は単純な機構なだけに部品の精度がモノをいいます。
前回にも出たクロノメーター規格なのですが、ISO規格として定められています。

1973年にスイスのクロノメーター検定協会(C.O.S.C.)により、15日間のムーブメント(動力機構)の誤差を測定して値を出します。
これには時計本体を上下・表裏反転状態で測定したり、温度差のある状態で測定したりしています。
機械式の時計での限界点での作動状況を測定するようなものですから、精度は機械式時計では上位クラスになるでしょう。

こういった高精度を求めた機械式時計は特にメンテナンスが必要です。
使われている部品のオーバーホールや油の再充填などのお手入れが重要になります。
5万円位の費用がかかるのがネックですが、キチンと作動させるには必要になります。
工場などでも毎日の点検や定期的にメンテナスを行いますので、大小問わず機械というものには手がかかるものですね。

また、機械式時計となるとアンティークなモノが多くなりますので部品の取替えなどが困難な場合もあります。
そういう場合には時計の修理職人さんは手作りで部品を作成するのです。
人の髪の毛よりも小さな径の穴あけや、0.01mm単位の精度での作業が必要になるそうです。
そうやって部品作りをするところは修理というより製作というべきでしょうか。

クォーツ時計(デジタル)全盛の時代でもアナログの作業は必要な技術なのですね。