コーティング被膜で産業発展を下支え [東洋ドライルーブ]

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ドライルーブと呼ばれる製品をご存じでしょうか。
機器が作動する際に生じる摩擦によるエネルギーロスを減少させたり、摩耗による性能低下を防ぐうえで不可欠な多機能被膜です。

そのドライルーブ製品の製造販売や加工を行う総合メーカーが東洋ドライルーブ(飯野光彦社長)です。
1962年(昭37)年、米国ドライルーブ社との技術提携により発足して以来、半世紀にわたり日本の産業発展を下支えしてきました。

ドライルーブは、二硫化モリブデン、フッ素樹脂、グラファイトといった潤滑物質と特殊バインダーを配合し、各種溶剤や水に分散させた有機結合型の多機能被膜をいいます。
同社の売上高の約7割を占める主力分野の自動車分野では、その加工対象部品は多岐にわたります。

自動車産業は、厳しい排ガス規制や二酸化炭素の排出削減に対応するため、ドライルーブ製品の採用領域が拡大しています。
排ガスによる酸を原因とする部品の表面腐食を抑えるにはドライルーブのコーティング加工が有効だからです。
引き続き、「ハイブリッド車や電気自動車といった次世代自動車の技術革新にどう関わっていくか」(飯野光彦社長)が目下の課題。

身近な採用製品では、デジタルカメラのズームやシャッターの駆動部やレンズの光量調整部分にも使われています。
市場の急拡大で話題を呼んでいるミラーレスカメラで、液晶部品の駆動部分やボディーにドライルーブ製品が採用されるケースがみられるそうです。

潤滑物質として二硫化モリブデンやグラファイトを用いればワイパーブレードのフロントガラスとの摩擦部分やキャブレターのバルブ部に、フッ素樹脂を用いれば燃料給排気などの制御部分やパワーステアリングなどの駆動伝達部分といった具合に、機器に求められる性能に応じて、多種多様な加工を施すのが特徴です。

顧客企業の生産拠点の海外シフトに加え、経済成長著しい新興国市場でのコーティング加工需要が拡大しているためグローバル展開も加速している。
世界市場を見据え、タイを加工、製品供給拠点と位置づける戦略をとっています。