コーンビーム方式

CTスキャンの「コーンビーム方式」(Cone Beam CT、CBCT)は、X線をコーン(円錐)状態に広げた形で放射しながら撮影する技術です。従来のCTスキャンでは「ファンビーム方式」が主に使用され、X線を扇状に絞りながら複数回のスキャンを行って断層画像を作成しますが、コーンビームCTではコーン状態のX線を使うため、一度に何度も撮影できます。撮影時間が短縮され、撮影者の被ばく量も軽減されるメリットがあります。

コーンビームCTは、産業用のCTスキャンに広く使われており、特に3次元データの構築に優れています。密封された製品内部の立体的な構造の確認、などに有効です。


産業用CT(コンピュータ断層撮影)スキャンは、非破壊検査(NDT)や品質管理のために使用される技術で、内部構造の詳細な3D画像を取得できます。以下のような特長があります。

1. 非破壊検査

  • 製品を壊さずに内部構造を確認可能
  • 部品の欠陥(気泡、亀裂、異物混入)を検出できる

2. 高精度な3D解析

  • マイクロメートル単位の解析が可能(高分解能CT)
  • 複雑な形状の内部まで詳細に測定可能

3. 多様な材料に対応

  • 金属、プラスチック、セラミック、複合材料などに適用可能
  • 異なる密度の材料でも明確に識別

4. 形状測定と寸法検査

  • 3Dデータをもとに正確な寸法測定が可能
  • CADデータと比較して、成形誤差を解析

5. 欠陥・異物検出

  • 内部のボイド(空隙)、クラック、溶接不良などを特定
  • 異物混入の有無を確認

6. 組み立て検証

  • 組立済み製品の内部状態を確認(電子機器、機械部品など)
  • 機能に影響を与えるズレや隙間を特定

7. 多様な分野で活用

  • 自動車(エンジン部品、バッテリー、鋳造部品)
  • 航空宇宙(タービンブレード、複合材料部品)
  • 電子機器(半導体、プリント基板)
  • 医療機器(インプラント、プロテーゼ)
  • 食品・製薬(異物混入検査、錠剤の品質確認)

産業用CTスキャンは、品質保証や研究開発において非常に重要なツールとなっています。

トップページへ