亜鉛ダイカスト

<例>ダイカストの3D計測

実物の形状データから3Dデータ作成


亜鉛ダイカスト(Zinc Die Casting)、亜鉛合金を用いたダイカスト(鋳造)加工の一種で、高精度で複雑な形状の部品を大量生産できる製造方法です。以下に特徴や用途、メリットなどを解説します。


1. 亜鉛ダイカストの特徴

  • 高精度・高強度
    精密な寸法精度が求められる部品を製造できる。

  • 優れた流動性
    溶融した亜鉛合金が型にしっかり流れ込み、複雑な形状の製品を作れる。

  • 耐食性・耐摩耗性
    亜鉛自体が腐食に強く、メッキや塗装も容易である。

  • 比較的低温で成形可能
    亜鉛の融点は約419.5℃と低いため、金型の寿命が長くなる。

  • 良好な仕上がり
    表面が滑らかで、美観が求められる部品に適している。


2. 亜鉛合金の種類

亜鉛ダイカストには、一般的に「ZAMAK(ザマック)」と呼ばれる亜鉛合金が使用されます。代表的な合金の種類には以下があります。

合金名 主な特徴
ZAMAK 2 高強度で耐摩耗性が高い
ZAMAK 3 最も一般的でバランスが良い
ZAMAK 5 ZAMAK 3よりも強度が高く、加工性も良い
ZAMAK 7 純度が高く、靭性が向上

3. 亜鉛ダイカストの用途

亜鉛ダイカストは、強度や精度、デザイン性が求められる部品に多く使用されます。

  • 自動車部品(ドアハンドル、エンブレム、ギア部品)

  • 電子機器部品(コネクター、ヒートシンク)

  • 建築金物(ドアノブ、ロック機構)

  • 産業用ロボット・機械部品(フレーム、ブラケット)

  • 玩具・雑貨(ミニカー、装飾品)


4. 亜鉛ダイカストのメリット・デメリット

メリット

高精度の製造が可能(追加加工が少なく済む)
複雑な形状に対応できる
比較的低コストで大量生産が可能
優れた電磁波シールド性(電子機器部品に適している)

デメリット

アルミより比重が高いため重量がある
高温環境では強度が低下しやすい
一部の腐食環境では劣化しやすい(適切なメッキや塗装が必要)


5. アルミダイカストとの比較

項目 亜鉛ダイカスト アルミダイカスト
融点 約419℃ 約660℃
強度・耐摩耗性 高い 比較的低い
軽量性 重い 軽い
複雑形状 得意 得意
耐熱性 低い 高い
コスト 低い やや高い

6. 亜鉛ダイカストの加工と仕上げ

亜鉛ダイカスト製品は、鋳造後にさまざまな加工や表面処理が施されます。

  • 機械加工(CNC加工、研削など)
    高精度が必要な部分を追加加工する。

  • 表面処理(メッキ、塗装、陽極酸化処理)
    見た目の向上や耐食性を高めるために行われる。

  • 熱処理(時効処理など)
    強度や耐摩耗性を向上させる場合もある。


7. まとめ

亜鉛ダイカストは、精密な製造が可能でコストパフォーマンスに優れた加工法です。特に、強度・耐摩耗性が求められる部品や複雑形状の部品に適しており、自動車・電子機器・ロボット産業など幅広い分野で活用されています。

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